年に100冊以上の本を読みます。好きなものは青春小説です。
今回は、第2回本屋大賞に選ばれている青春小説『夜のピクニック』のあらすじ・感想を書いていきます。
2004年に出版された恩田陸さんの『夜のピクニック』は158万部以上売り上げているベストセラー小説です。
2006年にはなんと映画化もされています。すごい人気ですね!
歩行祭で描かれる青春ドラマが、僕にはとても瑞々しくて魅力的でした。
それでは早速、あらすじから紹介していこうと思います!
夜のピクニック:あらすじ
みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。
どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。
物語のテーマは北高の伝統行事である「歩行祭」。それは夜を徹し、全校生徒で80キロの距離を歩き通すというもの。
甲田貴子は「異母兄弟」である西脇融に対して、歩行祭の中で「小さな秘密の賭け」をしようとしていた。
高校3年間、一度も話したことはなく、お互いに対する感情が何なのか分からずにいる2人。
周りからすると、くっつきたがって見える2人を近づけようと工作する友人たち。
果たして貴子は、自分の「小さな秘密の賭け」に勝つことはできるのか。
『夜のピクニック』を読んでの感想
ここからは実際に僕が読んでみての感想です。
貴子の「小さな秘密の賭け」
本当に、本当に、ささやかな賭けだった。賭けとも呼べそうにない、小さな願いだったのだ。
『夜のピクニック』を読んだ後に考えても、本当に小さな賭けでした。
僕が読んでいた時も「え?それだけ?」って感じでしたね(笑)
ですが、そんな簡単なことが歩行祭で自分に課した賭けであり、これまで長い間、貴子にとってずっと難しいことだったんです。
そして、この「小さな秘密の賭け」には続きがありますが、これ以上はネタバレになるので、ぜひあなた自身に読んでもらいたいです!
融の親友「戸田忍」の勘違い
気が付いてないかもしれないけど、何かの拍子に、いつも誰かを見てると思うと甲田だ。
だから、俺、てっきりお前が彼女のこと好きなのかと思って。
融は歩行祭の間、親友の戸田忍とかなりの時間を歩きます。
忍は、融と学校生活を過ごしてきた中で思っていることがありました。
それは、「融と貴子がよくお互いを目で追っていること」ことです。
歩行祭の直前にも融が貴子を意識していたので「もしかして融は貴子のことが好きなのではないか」と忍は勘違いをします。
この勘違いから、2人を歩行祭中にくっつけようという無謀な作戦を忍は決行します。
忍は粘り強く恋愛に駆り立てようと説得しますが、もちろん異母兄弟なので恋愛感情は無く、融は話を聞こうとしません。
ですが、忍の訴えかける言葉が後々、融の行動に響くことになるんです。
読んでいた僕にも響いた忍の言葉、少し紹介します。
このノイズが聞こえるのは今だけ
早く大人になって母親を楽にさせたい、1人立ちしたい、だからお前は雑音をシャットアウトしている。
でも、その雑音もお前を作ってる。聞いておかなきゃいけないときがある。このノイズが聞こえるのは今だけだから。
忍は人間関係で過去に後悔していたこともあり、親友の融にだけは今を後悔してほしくなかったのです。
忍が融に言う雑音とは「恋愛」という意味ですが、この「雑音もお前を作ってる」という言葉に気づかされたことがあります。
自分のやるべきことも大事だけど、時には回り道をしてもいいから人生を楽しんだ方がいい。
仕事や学業に専念しすぎて、周りの友人や恋人と距離が空いてしまった経験、多くの方があると思います。
今を未来のためだけに使うべきではない。今を生きることを忘れてはいけない。
『夜のピクニック』を読んでいて、僕がひどく痛感したことでした。
『夜のピクニック』まとめ
なぜか、その時、初めて歩行祭だという実感が湧いた。
こうして、夜中に、昼間ならば絶対に語れないようなことを語っている今こそが
──全身痛みでボロボロなんだけど、顔も見えない真っ暗なところで話をしながら頷いているのが、あたしの歩行祭なんだと。
「夜のピクニック」の良さは、歩行祭で描かれる、主人公を取り巻く青春ドラマの数々。
クライマックスで物語が明らかになる瞬間が、本当に読んでいて楽しかった。
それから、「今」をもっと大事にしようと思えた一冊です。
記事を読んでいるあなたが学生だったら、ぜひ本書を読むことをおすすめします。
「今は今のためにある」という実感を、この本を読むことで実際に味わってほしいからです。
そして、登場する賑やかなキャラクター達をきっと好きになると思います!
永遠の青春小説「夜のピクニック」。ぜひ読んでみてくださいね♪