推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。まだ、詳細は何ひとつわかっていない。
ー 推し、燃ゆ -
今回は、「推し、燃ゆ」を書評していきます!
2020年の芥川賞候補作品ということと、面白そうなタイトルに惹かれ、購入してみました!
「推し」という言葉から、「オタクがアイドルを追いかける話」を想像していましたが、読み進めていくとなにやら違うことに気づきます。
それは、主人公が「推している」環境や理由が想像を絶するものだったから。
発達障害により普通の日常を送れない高校生”あかり”が唯一、全身全霊で打ち込めるもの、それが「推し」を推すことだった。
そんな命よりも大事である「推し」が炎上し、人気が低迷していくにつれて、あかりはどうなってしまうのか。
少し気になってきましたか?ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね!
「推し、燃ゆ」はどんな人におすすめ?
byりた
ということで「推し、燃ゆ」の主人公、あかりの設定や人物像から、共感できそうなポイントをまとめました!
あなたはいくつ当てはまりますか?
- アイドルを推している、推していたことがある
- 自分をなげうってまで夢中になれる何かがある
- 障害から、普通の学校生活、最低限の日常生活が送れない
- もし、推しや夢中になっているものが無くなったらと考えたことがある
- 辞めるときも健やかなるときも推しを推している
最後のはあかりの言葉なのですが、読んでいて「ふふっ」としたので入れました(笑)
この中に2つ以上、あなたとの共通点がある場合、きっとあなたに刺さると思います。
特に、推し活をしている10代から20代の女性におすすめします!
あかりが推しに対して思うこと一つ一つに共感できたら絶対に面白いですよね!
「推し、燃ゆ」の簡単なあらすじ
発達障害により最低限の生活を送れない高校生の少女”あかり”。
そんなあかりでも、自分の命よりも大事な「推し」のためならライブに行くためバイトをしたり、推しを発信するブログを書くことだってできた。
アイドルグループまざま座のメンバーで「推し」である「上野真幸」が、あかりにとってすべての原動力だった。
そんな「推し」がある日、炎上する。ファンを殴ったらしい。
この事件がきっかけで「推し」の人気も低迷していく。
そんな中、グループの人気投票で「推し」が最下位になってしまったのを見てしまい、あかりはもう、生半可には推せなかった。
「推し」にすべてをかける生活を描く、一風変わった青春小説。
「推し、燃ゆ」から引用と感想 ー 推すことは「背骨」だ -
主人公のあかりは、推しを推すことを良く「背骨」に例えます。
あたしには、皆が難なくこなせる何気ない生活もままならなくて、そのしわ寄せにぐちゃぐちゃ苦しんでばかりいる。だけど推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな。
発達障害のため、普通の生活をできないあかりでしたが、推しを推すことだけは、普通の人以上に取り組める。
推すことが、自分の生きる支えになっているから「背骨」と感じるのでしょうね。
勉強や部活やバイト、そのお金で友達と映画見たりご飯いったり洋服買ってみたり、普通はそうやって人生を彩り、肉づけることで、より豊かになっていくのだろう。あたしは逆行していた。何かしらの苦行、みたいに自分自身が背骨に集約されていく。余計なものがそぎ落とされて、背骨だけになっていく。
あかりにとっての人生は、推すことしかない。
だから、勉強や部活も余計なものだし、バイトは推しにお金を使うためにやっている。
人生を彩る必要も、肉づける必要もない。
そんな日常生活なんて、あかりには「重さ」でしかなかった。
推しを推すときだけあたしは重さから逃れられる。
日常生活は余計な「肉」であり、推すことは「背骨」。
この表現すごく独特ですよね。
推すことだけがあかりにとって人生の本質であると、生々しく伝わってきます。
推しは、障害のため普通の生活ができなかったあかりが、初めて普通の人間でいられる「希望」のようなものなのでしょう。
そんなあかりに訪れる、推しの炎上。
推しが消えて無くなる、そんな恐怖とも戦わなくてはいけなくなります。
「こんな他人に依存した人生なんて何がいいんだ」と、言う人もいるかもしれません。
ですが、障害に絶望せず、人生をかけて推しに打ち込んでいるあかりは、「精一杯生きている」と言えるのではないでしょうか。
「推し、燃ゆ」のまとめ ー 推しに人生を賭けた青春小説 -
今回は、推しに人生を賭けた青春小説「推し、燃ゆ」を書評しました。
本記事では、推しを推すことに焦点を合わせましたが、
他にも、発達障害であるあかりが、家庭内や学校、バイト先でどれほど苦労しているかも伺えます。
正直、気の毒に思えるような場面もありましたが、様々な困難をもがき苦しみながら生きていくあかりの姿を、どうか見てあげてください。
そして「推すことの本質」をこの物語を通して学べたような気がします。
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