今回は瀬尾まいこさんの著書『その扉をたたく音』のあらすじと感想を記事にしました。
30歳を目前にして、親の仕送りで何不自由なく暮らしている自称ミュージシャンの主人公、宮路。
ある日宮路は、老人ホームで神がかったサックスの演奏を目の当たりにし、その演奏者「渡部君」にほれ込みます。
人生の最終コーナーに差し掛かった「宮路」と人生の行き止まりで立ちすくんでいる「渡部君」が老人ホームを舞台に奏でる感動長編。
人と人が出会うことによって生まれる希望に気づかせてくれる、そんなあたたかな青春小説です!
少しでも気になった方は、ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね。
『その扉をたたく音』はどんな人におすすめ?
小説は主人公に共感できることで、より没頭しやすくなり、あなたの人生と重ねやすくなります。
という事で、『その扉をたたく音』の登場人物から共感できそうなポイントをまとめました!
当てはまる数が多いかたは、読んでみるのをおすすめしますよ!
- 人生に行き詰まりを感じている
- おじいちゃん、おばあちゃんが好き
- なりたいものがあるのに変われない
- 坂本九、ビートルズ、グリーンデイが好き
- 人間は「老いる」ことをあらためて感じている
- ミュージシャンを目指している
特に、20~30代の男性で人生に行き詰まりを感じている方には、宮路の人生を自分に重ねやすいと思います。
今のあなたの夢や目標と照らし合わせて読んでみてくださいね。
『その扉をたたく音』が1分で分かるあらすじ!
30歳を目前にして、親の仕送りで何不自由なく過ごしている自称ミュージシャンの主人公『宮路』。
そんな宮路はある日、老人ホームの演奏会で神がかったサックスを演奏する『渡部君』に出会う。
老人ホーム「そよかぜ荘」の職員として働く渡部君や、入所者の水木さん、本条さんを通して、宮路は初めて現実と直面していく。
「誰かと関わることによって絶対に動き出す何かがある」、人と人との出会いに希望を与えてくれる、そんな温かい青春小説。
『その扉をたたく音』の感想を引用付きで!(ネタバレなし)
ここからは、私が実際に読んでみての感想です。宮路に関わり深い3人に着目してまとめました。
渡部君との演奏
いた、天才が。いや、ここまできたらもはや神だ。どうしてこれほど能力のあるやつが、こんなところにいるのだろう。真の神は思いもかけない場所にこそ、現れるものなのだろうか。
ー その扉をたたく音 ー
老人ホーム「そよかぜ荘」での神がかったサックスでの演奏に聞きほれた宮路は、何とか一緒に音楽をやろうと渡部君を誘います。
しかし、渡部君はあまり音楽には興味が無く、「僕には宮路さんと違って仕事があるから」と何度か冷たく断る。
口だけはミュージシャンの宮地と、現実的な宮路君の掛け合いは読んでいて非常にシュールでした(笑)
下の引用は、そよかぜ荘で働いている渡部君を、宮路が何とかバンドに誘おうとしているシーンです。
宮路「お年寄りばっかじゃなくてさ。ほら、コンサートとかものすごい興奮するぜ。そこの地名叫ぶだけで観客はみんなキャーってなるんだから」
渡部君「僕は地名を叫ぶことに喜びを見出せそうにないです」
宮路「地名じゃなくたって、音楽で魅了した後なら、何言ったってみんな恋人のように喜んでくれる」
渡部君「そよかぜ荘の人も何言っても息子のように歓迎してくれますよ」
ー その扉をたたく音 ー
渡部君、かなり冷たいですよね(笑)それでもあきらめずに勧誘を続けた宮路はすごいと思います。
そんな完璧かのように思える渡部君ですが、物語の序盤で1つ、「言い訳のような嘘」を宮路に言い放っています。
彼には彼なりの悩みがあったんだ、と私は最後になってからやっと気づきました。
渡部君の「嘘」を探しながら読み進めていくのも、面白いかもしれません。
水木さんとのおつかい
水木さん「おい、ぼんくら」
エントランスで声をかけられ振り向くと、俺を杖で殴ったばあさんが立っていた。
渡部君「水木さん、わざわざ心配でいらしたんですね」
渡部君はばあさんのほうに笑顔を向けた。
水木さん「いや、このぼんくらが死んだりして私のせいにされたんじゃことだなと思って見に来ただけだ」
ばあさんはしかめっ面で偉そうに言った。
宮路「こりゃとんだばあさんだぜ」
ー その扉をたたく音 ー
宮路は、渡部君に会うことを目的に老人ホーム「そよかぜ荘」に通っていると、一人のおばあさんに気に入られ「ぼんくら」の愛称で呼ばれるようになります。
そのおばあさんこそが水木さんで、渡部君の演奏に宮路が興奮しているところを水木さんに杖で殴られるのが初めての出会いです。かなり凶暴なおばあさんですね(笑)
仲良くなってからは「どうせ暇だろう」と宮路に毎週おつかいを頼むようになり、宮路も宮路で「誰かのために考えて物を選ぶ」ことを楽しそうにしていました。
ずっと自分の世界にしか目を向けていなかった宮路が、水木さんを通して「誰かのため」を思って行動できるようになっていくのが、読んでいて嬉しかったです。
本庄さんとの友情
本条さん「来てた、来てた。ぼんくらさん、あなた、ギター弾かれてましたよね」
と初めて見るじいさんが声をかけてきた。
宮路「そうですけど」
本条さん「私も実はギター持ってまして。家から送ってもらったんですけど、教えてくれませんか」
宮路「まあ、いいけど」
とじいさんの方を見て俺は頭を抱えた。じいさんが持っているのは、ギターじゃなくてウクレレだ。
ー その扉をたたく音 ー
本条さんは、宮路がギターを弾けるという事を聞きつけ、自分もギター(ウクレレ)を持っているので教えてほしい、と話しかけてきたおじいさんです。
宮路は、「それはギターじゃなくてウクレレだ」と何度も言いますが、本条さんはギターだとずっと思っています。ちょっとかわいいですね(笑)
本条さんは成長も早く、宮路が教えたことを家で何度も練習してくるような努力家のおじいさんです。
やがて、2人は「上を向いて歩こう」を通しで演奏できるように練習しますが、そのタイミングで本条さんに良くない出来事が起こってしまいます。
本条さんに何が起きたのか、宮路がそこで何を思ったのか。ここからはあなた自身の目で確かめてください。
『その扉をたたく音』のまとめ!
今回は、人と人との出会いを今だからこそ見直せる青春小説「その扉をたたく音」を書評しました。
結局、渡部君のサックスが宮路にとっての「その扉をたたく音」だったのですが、あなたの人生には「その扉をたたく音」はありましたか?
音でなくても、言葉、出会い、体験、様々あると思います。
重要なのは、その音を絶対に「聞き逃さない」ことだと、宮路を通して私は気づけました。
ここまで読んでくださったあなたも、宮路と、この温かな物語を通して人生のヒントや発見を見つけてほしいです。
「その扉をたたく音」ぜひ読んでみてくださいね!購入は下のリンクから!
『その扉をたたく音』の次に読む本を紹介!
ここからは「その扉をたたく音」を読んだ方向けに、次におすすめする本を紹介します。
あと少し、もう少し(瀬尾まいこ)
「あと少し、もう少し」では、なんと高校時代の渡部君を見ることができます。
陸上をしていたことを楽しそうに宮路に語る部分や、渡部君が大切にしていた絵のストーリーを読むことができますよ!
「その扉をたたく音」を読んだ方には、一番に読んでもらいたい一冊です。